地域で生活していく力を失わないためには病気の再発をいかにして防ぐかが大切です。そのために
無理
無頓着
無謀
という事態へのきめ細かい配慮が大切です。
無理が重なると、本来備え持っている重要なセンサーの働きが鈍ります。そうなると身体からの様々な信号が感知できなくなり、疲労を蓄積させることにつながります。不眠が続いてもそれに無頓着となり、周囲からの助言や支えに対しても無頓着になってしまいます。不眠が2日以上続いたら赤信号と考えましょう。
また、これまでやったことのない仕事や勉強などを急にやろうとすることも危険なことです。こうした無謀な行為は無理を生み、調子を崩すことにつながっていきます。
◎当事者の能力を再発見する努力
ともするとできていないことに目がいきがちですが、必要なことはどの当事者も無能力者ではないという認識に立って、できていることを見つけていく努力を怠らないことです。どのような疾患や障害があっても、その人らしく幸福を追求していく力は持っているのですから。
◎社会参加の意味するところの再確認
社会参加は働くことだけではなく、地域において日常生活を営むことができるということが社会参加につながることであるという認識が必要です。家の前に落ちているゴミを一つ片付けることで町を綺麗にする。これも立派な社会参加です。
◎病気と障害が同時に存在するという精神科疾患の特質の理解
病状が悪くて日常生活に支障をきたすことがあるのと同じように、病状は軽快していても障害が重いために支障をきたしていることもあります。調子が悪いからすぐに入院と決めつけることがその当事者にとってプラスにはならないことを認識する必要があります。
◎当事者・家族・隣人に疾患を正しく理解・認識してもらうための働きかけ
障害を抱えている当事者が地域で生活を営んでいけるためには、その人が抱えている疾患を乗り越えて自立していく力をつけていくことが大切です。そのために、日常生活の些細な変化まですべて病気のせいにしないでください。時にはなんでもないことでイライラして大きな声を出してしまったり、ちょっと気分が落ち込んだような感じになってしまったりというようなことは、誰にでも起こり得ることで、いわば生きている証と言っても間違いではありません。
日常生活の中で起きている現象が病気のせいなのか、そうではなくて誰にでも起こり得ることなのかを的確に判断できるように疾患を正しく理解・認識していただけるようにお手伝いします。
|